こんにちは、オットラッコです。
私は中途失明者で、視覚障害者です。
生まれつきじゃなくて、途中で失っちゃったわけです。
ちなみに「障害」という言葉は、「障がい」、「障碍」という表現もありますが、
私は特にこだわりなく「障害」でいいかなと思っています。
新たな視界を手に入れるまで
さて、私が中途失明に至った経緯をお話しします。
大学を卒業し、最初の就職先は自宅から遠く、ひとり暮らしを始めることに。
車がないと生活できない地域だったため、早々に中古車を購入しました。
運転初心者で、お金もなかったから新車はお預け。
「いつかは新車だ!」と夢見てました。
そんな新生活を送っていたある日、仕事で疲れて夕食後にうたた寝してしまいました。
夜中に目が覚め、コンタクトレンズをはずそうと洗面所へ。
その時、視界の中央に汚れのような小さな「点」が見えました。
レンズの汚れかと思い何度も洗浄しましたが、
レンズを外しても、右目に見える小さな「点」が消えないことに気づきました。
その時は、ただの疲れ目だと思い込み、翌日の仕事に備えて就寝しました。
今から思うとのんきなものです。
数日後、その小さな「点」が少し大きくなっていることに気づき
(この時点では直径2センチくらい)、診察を受けることにしました。
かかりつけの眼科で検査しましたが原因はわからず、
大学病院を紹介されました。
初のMRI検査にドキドキしながら、様々な検査を経て、
最終的には遺伝子検査で
「レーベル病」
と診断されました。
お医者さんから
「両眼ともに症状が進行する可能性が高い」
と言われましたが、
当時はまだ見えていたのでピンときませんでした。
見えない世界での新たな生活
徐々に症状は進行し、車の運転もヒヤリとすることが多くなり、泣く泣く手放すことに。
事故してからでは言い訳にならないので仕方ない。
通勤は先輩や同僚の車に乗せてもらっていました。
やがて通勤だけでなく、日常の買い物も困難な場面が増えていきます。
そして右眼に続いて左眼も視力が低下し、
両眼ともに視力は急速に低下しました。
半年後には視力の低下は止まりましたが、
視野の中心が見えにくく、矯正視力でも0.01未満となりました。
視野の中心に比べ、周囲はある程度見えるので、
慣れたところならどうにか歩けるといった感じ。
この経験でありがたかったのは、
「職場での理解と支援があったこと」
「徐々に進行したので見えにくさに慣れることができたこと」
「新車を買う前に発症したので、高額出費を避けられたこと(笑)」
などです。
発症直後は不安も多かったですが、次第に
「この状態でどう生活するか」
「この状態で何が楽しめるか」
を考えるようになりました。
ここまでが20代なかばの出来事です。
現在40代となった私は、症状は変わらないものの、
周囲の支援や専用の設備のおかげで穏やかに暮らしています。
視覚障害者としての日々にはチャレンジも多いですが、
それを乗り越えるための工夫やサポートもたくさんあります。
私の経験が、中途失明に直面している方やその家族にとって、
少しでも役に立てば嬉しいです。
皆さんが自分らしい生活を見つけ、楽しむことができるよう願っています。